最終更新日:2024年7月9日
こんにちは、風テラス相談室です。
- 「役所から、住民税の申告書が届いた!」
- 「税金の申告は、これまで一度もしたことがない・・・」
- 「何をどうやって書けばいいのか、わからない・・・」
毎年、こうしたご相談が風テラスに寄せられます。
今回のコラムでは、「役所から住民税の申告書が届いた時に、どのように書けばよいか」について、解説します。
そもそも「住民税」って何?
住民税とは、都道府県に納める道府県民税(東京都は都民税)と、市区町村に納める市町村民税(区市町村民税)の総称です。
その街で暮らす人たちのために、自治体が提供する公共サービス=教育・福祉・交通・清掃・ゴミ処理などの費用として使われます。
なぜ、自宅に申告書が送られてくるの?
会社員や公務員など、給与をもらっている人の住民税は、給与から自動的に天引きされます。そのため、住民税の納付書が自宅に届いたり、自分で納付手続きをする必要はありません。
自分で事業をしている人=個人事業主は、毎年2~3月に確定申告を行い、自分で税金を申告します。
確定申告をした人には、毎年5~6月頃に、役所から「今年の住民税は、この金額を支払ってね」という納付書が届きます。
つまり、住民税の申告書が自宅に送られてくるのは、「会社に勤めておらず、確定申告もしていない個人事業主(もしくは無職)と役所から思われている人」です。
「えっ、自分は個人事業主だったの?」と驚かれる方もおられるかもしれませんが、風俗のお仕事は、会社員でもアルバイトでもなく、個人事業主=自営業になります。
会社員のように、会社が税金を自動的に納めてくれるわけではないので、自分で毎月の売上と経費を記録して、自分で確定申告をする必要があります。
⇒確定申告の基礎知識については、
こちらのマンガ(https://www.r-30.net/column/archives/3865)をご覧ください。
申告書には、何をどうやって書けばいいの?
「書き方がよく分からなかったので、収入なし=無職として記入・提出しました」という人がいますが、これはNGです!
収入があるのに申告をしないと、脱税になってしまいます。
お伝えした通り、風俗のお仕事は会社員ではなく個人事業主なので、そこで得た収入は「給与所得」ではなく「事業所得」になります。
「所得」とは、売上から経費を差し引いた金額を指します。風俗のお仕事の場合、お店までの往復交通費や衣服代が経費になります。
⇒経費になるもの・ならないものの区別についても、
こちらのマンガ(https://www.r-30.net/column/archives/3865)をご覧ください。
そのため、風俗のお仕事だけで生活している場合は、風俗のお仕事で得た所得を「事業所得」(営業等)の欄に記入して、提出すればOKです。

「毎月の収入の記録が全く残っていない」「領収書が一枚もない」という場合でも、申告は行う必要があります。
その場合、毎月の収入や経費を覚えている範囲で書き出して、できるだけ正確な数字に近づけて記入する形になります。
申告したら、風俗のお仕事をしていることがバレてしまうの?
どこにも・誰にもバレませんので、ご安心ください。そもそも、申告書に「風俗業」と記入する必要はありません。業種・職業の欄には「サービス業」もしくは「接客業」と記入してください。
お店の名前についても、書きたくなければ、書かなくても大丈夫です。自営業なので、勤務先の欄には、自宅の住所や電話番号を記入すればOKです。
どのくらいの金額の税金を支払うことになるの?
東京都の場合、住民税の税率は、特別区民税6%+都民税4%=合計10%になります。
これに均等割(=所得金額にかかわらず、住民税の課税対象となる人に一律で割り当てられる税額)として、年額5,000円が加算されます。
つまり、課税所得が300万円の場合、納める住民税の金額は、
300万円✕税率10%=30万円+均等割5,000円=合計305,000円になります。
「高い!」と思われる方も多いかもしれません。そう、住民税は高いんです。収入が多い人も、少ない人も、一律で課税所得の10%を納めることになるからです。
1ヶ月分の収入に近い金額を納付することになるので、日々のお仕事で稼いだお金の中から、税金を支払うためのお金をきちんとキープしておく必要があります。
「毎月100万円以上稼いでいます」という人は、そのまま申告すると、100万円以上の税金を請求されることになるので、申告書を提出する前に、税理士に相談されることを強くお勧めします。
風テラスから税理士を紹介することもできますので、お気軽にお問い合わせください。
*収入に応じて、所得割が免税となることもあります。市区町村によって免税の基準が異なることもあるため、詳細は、現在お住まいの地域の役所にご確認ください。
住民税を申告したら、これまで納めていなかった所得税についても、確定申告をして支払わないといけないの?
市区町村が確定申告をしていない人を税務署に通報する、という制度はありませんが、確定申告をしていなかったこと自体はバレる可能性が高いので、「これまで支払っていなかった所得税も支払うことになる」と思っていたほうが良いです。
そもそも、税金の支払いは国民の義務です。収入があるのに所得税をきちんと払わないと、脱税になってしまいます。
住民税の申告書が自宅に送られてくるケースは、(夜職の世界では「あるある」ですが)それ自体がかなりレアなことだそうです。役所から「確定申告をしていない人」と思われていることは間違いないので、来年からはきちんと申告をしましょう。
住民税を支払わなくていい場合
以下の条件に当てはまる場合は、住民税を支払う必要はありません。
- 生活保護を受けている場合
- 障害者・未成年者・寡婦・ひとり親の方で、前年の合計所得が135万円以下の場合
- 前年の合計所得が、次の計算式により得られた金額以下の場合
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の人数)+10万+21万円
*同一生計配偶者・扶養親族がいない=一人暮らしの場合は、45万円以下
いかがでしたでしょうか。住民税というと、「よくわからない」「怖い」「とにかく不安」というイメージが強かったかもしれませんが、正しい知識があれば、何も怖がる必要はありません。
自宅に住民税の申告書が届いた場合は、焦らずに、この記事を参考にして、記入・提出してみてください。そして、来年からは、きちんと確定申告も行いましょう!