こんにちは、風テラス相談室です。
「今月の家賃の支払いが間に合わない・・・」
「借金や売掛の返済のためのお金がない・・・」
そんなときに、スマホで見ていたSNSのタイムラインに
「即日・即決でお金を貸します」
「借金の問題を無料で解決!」
という広告が出てきたら、ついタップしたくなってしまいますよね。
しかし、ネット上の宣伝や広告には、明らかに違法なものや、違法ではないにしても、借金の根本的な解決につながらないものもあります。
今回のコラムでは、ネット上で見かける宣伝や広告の実態・注意点について、分かりやすく解説します。
「即日でお金を貸します」という個人の宣伝
SNSで、「お金を貸します」という宣伝をしている個人のアカウントがあります。
「即日振込可能!」「在籍確認不要」「他社で断られた方、ブラックでもOK!」といった宣伝を見ると、お金に困った時はつい頼りたくなるかもしれません。
しかし、個人間融資で知らない相手からお金を借りるのは、絶対にNGです。理由は、以下の通りです。
①法外な利息の支払いを求められる
「お金を貸します」と宣伝する個人のアカウントの多くは、貸金業の登録をしていない、違法な高金利で貸付を行うヤミ金です。
「10日で1割(トイチ)」「10日で3割(トサン)」といった法外な利息の支払を求められることもあります。
利息制限法が定める利息の上限は、貸付額に応じて年15~20%です。
10日で1割(年365%)という利息は、完全に違法です。
年109.5%を超える利息の定めがある場合、契約全体がはじめから無効になります。
また、そのような契約をすることや、年109.5%を超える利息を受け取ることも、その支払いを求めることも、犯罪行為です。
(なお、貸付を事業として行なっている場合、年20%を超える割合の利息を取ることは、犯罪行為になります)
「ヤミ金を利用すること=犯罪者からお金を借りること」です。様々なトラブルに巻き込まれるおそれがあります。
なお、判例上、ヤミ金による著しく高利の貸付はそれ自体が「公序良俗違反」であるため、利息だけでなく、元本も返す必要がないとされています。
②利用することで口座を凍結される
違法な利息を取るヤミ金から口座振り込みでお金を借りてしまうと、借りた人の口座がヤミ金に利用され、口座が凍結されてしまうことがあります。
③性的な関係を要求される
「利息を免除するから」として、性的な関係を要求されることがあります。
④保証金をだまし取られる
「50万円貸してあげるから、保証金として5万円を振り込んでほしい」と言われて振り込んだら、そのまま相手に逃げられてしまうことがあります。
⑤個人情報をネットでさらされる
お金を借りる条件として、「運転免許証の画像」や「顔や体の写真」を送るように求められ、返済ができなかったときに、ネットでさらされるケースがあります。
困ったときにお金を借りてよいのは「消費者金融まで」です。
消費者金融からお金を借りて返せなくなった場合、それ以上無理にお金を借りようとすると、ヤミ金や詐欺などの犯罪に巻き込まれる可能性が高いです(借りてしまってトラブルに巻き込まれた場合は、警察や弁護士に相談してください)。
「借金を返すための借金」をする前に、ためらわずに相談してくださいね。
弁護士や司法書士の広告の注意点
借金やヤミ金対応に困ったときに、解決方法をネットで検索していると、たくさんの法律事務所や司法書士事務所の広告が出てきます。
*なお、「法律事務所」の名称を使えるのは弁護士だけです。
「早く解決したいけれど、どの弁護士・司法書士に依頼すれば良いのかわからないから」
「法律事務所の広告だから、大丈夫だろう」
という理由で、最初に目に入った広告を見て依頼してしまいがちですが、残念ながら、弁護士や司法書士が相談者の無知につけ込んで、高額な報酬を取った上で不適切な債務整理を行う場合もあります。
そのような弁護士や司法書士を避けるための注意点をお伝えします。
最大の注意点は、電話やLINEだけで依頼しない=弁護士や司法書士に「直接会ってから」依頼することです。
日本弁護士連合会は、債務整理事件を受任する弁護士は、依頼者と直接、面談をしなければならないというルール(直接面談義務)を定めています。
日本司法書士連合会も直接面談のルールを定めています。直接面談した上で、家計の収支状況や借金を負った理由等を丁寧に聴取しないと、依頼者にとって最も適切な債務整理の方法が判断できないからです。
その意味で、全国に支店があるわけでもないのに「全国対応」をPRする事務所はお勧めしません。
弁護士や司法書士が依頼者に会わずに債務整理を進めることはルール違反であることを、ぜひ覚えておいてください。
また、特別な債務整理の方法があるかのような広告をしている事務所も避けましょう。
債務整理には、魔法のような解決策はありません。特定の事務所にしかできない「みんながまだ知らない、新しい解決策」は、存在しません。
問題のある弁護士や司法書士に依頼してしまった場合に起こること
借金を抱えた依頼者に対して、「任意整理」と「自己破産」の違いを十分に説明せず、本人の生活状況等も十分に聞き取らないまま、到底返済できないような任意整理を行う弁護士や司法書士もいます。
任意整理は、(少し難しい説明になりますが)当初の取引より全ての取引履歴の開示を求め、利息制限法の利率によって元本充当計算(引き直し計算)を行い、債権額を確定し、それまでの遅延損害金、将来利息は付さずに3〜5年で分割弁済する和解案を提示するものです。
2010年6月18日の改正貸金業法の完全施行によりグレーゾーン金利が撤廃され、「適法な貸付」は全て利息制限法の範囲内の利率で行われています。
改正貸金業法の完全施行より前からの借入がない場合、引き直し計算がされないので、元本は減りません。
つまり、依頼者の家計の状況からすれば、任意整理は難しい(=無理に任意整理をしても払いきれずに、逆に生活が破綻する)場合も、少なくありません。
債権者と交渉するだけの任意整理よりも、債務・資産・収入等に関する資料をそろえて、多重債務を負うに至った経緯なども書面にして裁判所への申立てを行う必要がある破産の方が、弁護士や司法書士の手間は大きくなります。
そのため、ネットで全国から大量集客した事務所が、依頼者の生活状況等の聴き取りを十分にしないまま、無理な任意整理を行なった結果、依頼者が最後まで払い切ることができなくなり、任意整理を依頼した事務所とは別の事務所で改めて自己破産をすることになる事例が、各地で多く起こっています。
その場合、任意整理のために弁護士や司法書士に支払ったお金や、任意整理で途中まで返済したお金は、全くの無駄になってしまいます。
風テラスにも、
- 自分が弁護士や司法書士に何を依頼したのか、よくわからない
- 任意整理なのか、自己破産なのか、よくわからない
- 弁護士や司法書士が説明してくれない、怖くて聞けない
といったご相談が寄せられることがあります。
ネットで広告を出している弁護士や司法書士に依頼したけれど、ちゃんと話を聞いてくれない、そもそも直接会ったことがない、高額な料金を提示されて迷っている、解決につながるかどうか不安・・・という場合は、遠慮なく風テラスに相談してくださいね。