風テラスに相談しよう!#11 「趣味講習」をやっつけろ!

こんにちは。風テラススタッフのナミです。

4月に入り、風テラスへのご相談状況は少し落ち着いているのですが、多分これは嵐の前の静けさ、、、

というのも、春は風俗業界も「新入り」が増えるシーズンです。

最初の1か月は「新人」として指名も入りやすいので毎日が慌ただしく過ぎていきますが、だんだんと、お店の威圧的な態度やネットの誹謗中傷など、不安な点が目についてきます。

中でも、今回は、入店時に注意してほしい店長や男性スタッフによる講習名目のセクハラ・本番強要、いわゆる「趣味講習」をテーマにしました。

どうやら調べてみると、講習を拒否するだけでなく、危険な店をかぎ分けることや、法律知識などをフル活用してスキのない女だと示すことが趣味講習をやっつける一番の近道になりそうなことがわかりました。

ぜひ情報を頭に入れてお店を選んでみてくださいね。

趣味講習の相談が多い業種・第1位はメンズエステ

風俗未経験の女性も参入しやすいソフト路線で人気のメンズエステ。

ですが、風テラスでは「入店時に、店長から趣味講習の被害を受けた」というご相談が相次いでいます。

「売れるためには必要なことだよ」
「ここでできないのなら、お客さんにもできないよ」

こんな言葉で、店長やオーナーが「実技講習」として、足の付け根や陰部をマッサージするように「指導」してくる事例が報告されています。

最終的に「抜き」を強要され、体をさわられたり本番行為に及んだりする悪質なケースもあるため、風俗の経験がなくメンズエステに入店したような女性は大変なショックを受けます。

さらに追い打ちをかけるのが、あの手この手で退店させない店側の態度。

「無理そうなのでやめます」と言おうものなら、

「マッサージ講習費用100万円を弁償してもらう」
「最低3か月間は働く約束のはずだ」

などと、おどしのような条件を突きつけます。

過去のご相談の中には、講習費用や違約金を支払うために系列のデリヘル店に送り込まれたという被害もありました。

そもそもデリヘルのような派遣型風俗店でもなく、風営法上の届け出も出さずに、住宅地やマンションの一室で営業しているメンズエステ店は性的サービスを一切行ってはいけません。

必要以上に体を密着させたり、セラピストに露出の高い衣装を着用させたりすることも異性の性的好奇心をあおる行為とみなされ、最悪の場合、店舗は摘発対象になります。

表向きはメンズエステとうたいながら性的な「講習」を行う店は、違法な性的サービスを提供したり、客の性的な要求を黙認したりするリスク高の店舗ともいえそうです。

そこで、重要になってくるのは入店時のお店の見きわめとその対処法。

これはデリヘルなどの業種も気をつけるポイントは同じなので、チェックしてくださいね。

入店前にネットで下調べしよう!

まず面接を受けようと思っている店舗は、必ずネットで下調べしましょう。

どうしても「楽らく〇〇万円稼げる」などの情報ばかりを目で追ってしまいがちですが、求人サイトだけでなく、お店の公式サイトも必ず確認してください。

とても人前で口に出せないような店名だったり、女性をモノ扱いするような過激なキャッチコピーを出していたりするお店は避けてほしいというのが本音です。

自分がどんな風に売り出されるのか、、、想像できると思います。

そのほか、「店名 + 口コミ」などのキーワード検索で、客やキャストからの書き込みがないか探すと、過激なサービスが隠語で投稿されていたり、趣味講習の告発の投稿を見つけたりすることもあります。

〇入店前に「入店の心得」もcheck!

面接で、なめられない女になる!

いよいよ入店面接です。面接は緊張するし、収入や最低保証などお金のことが気になってなかなか頭が回らないですよね。

でも、勇気をふりしぼって、「業務委託契約」の内容をしっかり聞きましょう。

キャストやセラピストは、施術や接客、性的サービスを提供する「個人事業主」です。店側はみなさんに接客業務を外注して売り上げているわけですから、店との契約内容に不満があれば、契約を結ばなくてもいいし、疑問は堂々と納得いくまで確認する権利があります。

ところが、女性側の無知や弱腰につけこみ、「採用してやる」と支配的な立場でコントロールしてくる店・男性は、残念ながら存在します。

男性になめられないように知恵をつけることはどんな世界で生きていくためにも大切なので、その練習だと思って頑張ってください。

以下に実践例を並べます。

「業務委託契約書(契約書)を見せてくれますか?」

「男性スタッフとの講習はありますか?それは契約書に記載された業務ですか?」

「お客さんと交わす誓約書はどのような内容ですか?」

「お店を辞めたいときは、いつまでに誰に連絡すればよいですか?」

「罰金制度や弁償ルールはありますか?それは契約書に記載されていますか?」

こんな風に質問できたらいいですね。

入店の際には、同じ内容の契約書を2通作成して、1通はお店が保管し、もう1通は女性が保管する形になります。

契約書はお店保管用の1通だけ作成し、女性用を作成しないお店は、その時点でかなり怪しいです。

万が一、契約書をもらえなかったときは、「コピーをください」「スマホで撮影させてください」と伝えて、控えを確保したり、データで保存しておきましょう。

中には、まったく契約書を用意していない店舗もあります。

そのような場合はあれこれ追及せず、「入店は少し検討させてほしい」とだけ伝え、面接時に提出した個人情報(住民票・身分証のコピー)を回収したうえでその場を去れば、完ぺきです。

すぐに稼ぎたい気持ちはわかります。

でも、お店は星の数ほどあります。

あなたの直感を信じて、不安を感じたお店からは離れることも大切です。

暴行や脅迫がなくても性被害は成立する

さきほども説明したように、セラピストやキャストは個人事業主です。つまり、女性からみれば、店は「取引先」であり、オーナーや店長は取引先の社長にあたります。

普通に考えて、取引先にセクハラ、レイプされたら大問題ですよね。

近年では、趣味講習をしていた経営者が被害に遭った女性キャストからの告訴をきっかけに逮捕されるケースもあり、捜査に乗り出す警察も増えてきました。

これは、風俗の世界で生きる女性たちが、「風俗嬢をしているあなたが悪いんじゃないの」という世間の批判を乗りこえ、声を上げてきた成果ともいえると思います。

また、暴力団とつながりがある店舗も一部にはあるので、捜査機関からみれば、暴力団の資金源を断つために被害女性の告訴が重要な糸口になることもあるでしょう。

とてもつらい記憶でしょうが、覚えているうちに詳細にメモを残してほしいです。

そして、できれば早い段階で警察に通報・相談してください。

たとえ加害者の逮捕に至らなくても、適切な医療機関で診察してもらうことができ、加害者に対して慰謝料などの損害賠償請求をする際の証拠にもなるはずです。

被害を聞いてもらうことも心のケア

長くなりましたが最後に、性被害のワンストップ支援センターを紹介させてください。

今回、お話をうかがった性暴力救援センター・SARC東京は、都のワンストップ支援センターとして24時間365日、相談を受け付けている機関です。

風俗で働いている方からの相談は少ないのでは?と思っていたのですが、意外なことにご相談がたくさんあるとのこと。

「契約違反だと思いませんか?」
「風俗嬢だからってこんなこと許されないですよね」
「警察に事件にできないって言われて、、、ひどい」

契約書を握りしめ電話してくるキャストさん、中には、「アフターピルを飲んできました!」と報告してくれる方もいるそうです。ひとりで相談に行っても相手にされなかった場合でも、支援者が同行して再相談すると、あきらかに態度が変わる警察官もまだまだ多いので、遠慮なく支援窓口を頼ってほしいといいます。

ただ、しっかりと主張できる女性の影で、「こんな仕事を選んだ自分が悪い」と自責の念にさいなまれて動けなくなっている方も少なくありません。

そのような方々にSARC東京理事長の平川和子さんはメッセージを寄せます。

「私たちは『相談する』ではなく『声を上げる』ことだけで十分だと考えています。声を上げることでその人は強くなれます。自分の存在をかけて声を上げてくれたことを大切に思っています」

性被害はあってはならない出来事です。しかし、声を上げれば、あなたの気持ちに寄り添って支援してくれる人は必ずいます。もしよければ、その声を誰かに届けてください。

性被害・性暴力の相談窓口

◆各都道府県警察の性犯罪被害相談電話
全国共通 #8103

◆ワンストップ支援センター
全国共通 #8891
(発信場所の最寄りの支援センター直通)

◆関連する風テラスの連載コラム
第2回 本番を強要されてしまった時の対処法


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