今回も前回に引き続き、若者の性の課題解決に取り組み、「誰もが自分の人生を自分でコントロールできる社会へ」をテーマに掲げ、活動をしている一般社団法人ソウレッジをご紹介。
ソウレッジは、売春が合法化され、決められた区域で売春業を営むことが許可されているオランダにも視察をしています。この視察についても触れていますので、ぜひ、最後までお読みください。
アフターピルのアクセス強化を政策提言

前回の記事では、ソウレッジが行なっている活動を一通りご紹介しました。今回は、より具体的に聞いていきましょう。
「性教育のカリキュラムについての政策提言を行なっています。具体的には学習指導要領の改訂を求めています。また、避妊薬のアクセスをよくしていくために、緊急避妊薬の費用負担の低減も訴えています。緊急避妊薬のアクセスに関しては、様々な方々の尽力で、現在では、薬局で試験販売をするようになりました」
2023年11月から、一部の薬局でアフターピル(緊急避妊ピル)の「医師の診察なし、処方箋なし」での試験販売が始まっています。これまでは必ず医師の診察と処方箋が必要だったのですが、将来的にOTC薬としてアフターピルを適切に利用できる仕組みを検討するために、調査研究の一環として行われています。
ただし、16歳以上の女性が対象(16~17歳の方は保護者の同伴と同意が必要)、アンケートへの回答、調査研究への参加同意などの条件があります。
薬局で、手頃な価格で、困った時にはいつでもアフターピルが買えるようになるには、もう少し時間がかかりそうですが、確実に、予期せぬ妊娠に女性の誰もが自分で対応できる日は近づいています。
(詳しくは日本薬剤師会のHPを>>>https://www.pharmacy-ec-trial.jp)
※OTC薬…薬局・薬店・ドラッグストアなどで医師の処方せんなしに購入できる医薬品のこと。
「病院だと12,000~15,000円くらい。薬局での販売だと8,000円くらい。現状ではまだ値段が高く、10代、20代にとっては手が届きやすい価格ではありません。
現在、フランスでは無料で全世代の女性に配布しています。そこが最終ゴール地点ではありますが、未成年者や若者だけでも、例えば3,000円以下など手に届きやすい価格にならないかと考えています」
アムステルダムへの視察ではセックスワーカーと意見交換

現在、子どもに関わる大人への性の知識の提供に力を入れているソウレッジでは、海外の視察も行なっています。これまでにはセックスワークが非犯罪化されているオランダにも行き、当事者団体から活動に関するお話を聞いたそう。
「日本とは制度や法律が違うので、一概に比べられませんが、オランダでは個人事業主として制度として守られていることが印象的でした。その上で、当事者団体に頼れる状態になっている…日本でも、守られていて、頼れる場所があるという状況になっていったらいいなと思っていました」
オランダの首都アムステルダムには、レッドライトディストリクト(飾り窓地区)と呼ばれる場所があり、そこでは飾り窓の中に女性たちが立ってお客を取る他、アダルトショップやストリップクラブ、成人劇場などが集中しています。

「元セックスワーカーや現役セックスワーカーがボランティアで参加している団体でお話を伺いました。印象的な話としては、個人事業主なので、価格交渉から自分で行なっていて、気に入らないお客さんや危ないと思ったら断われること。また、『こういうことがあったら危ない人のサインだから断った方がいいかもしれない』という情報を共有していました。団体を通して、セックスワーカーの皆さんが、助け合いながら働かれているのが印象的でした」
日本ではお店があり、そこに所属をして働くことが一般的。そのため、オランダとは事情が異なるところもありますが、団体だけでなく、お店や求人情報サイトなど多様な立場から働く環境づくりの向上に力を注いでいます。この「ヒメヨミ」も、働く女性のための情報配信に一躍かっていますね。
ただし、性の仕事が「職業として他の職業と同じように扱われているか」という点については疑問が残ります。「職業としての性産業」がきちんと成立することを願うばかりです。
「性」で嫌なことがあったら相談していい
ソウレッジが設立されたのは2019年。前代表者が大学在学中に、ある事件と遭遇したことが団体発足のきっかけになったそうです。
「前代表の鶴田七瀬が所属していた大学で、産んだ赤ちゃんを畑に遺棄するという、出産0日の虐待死事件があったんです。
もともと鶴田は、性やジェンダーに対する問題意識をもっていたため、その事件に際して、『これって遠い誰かの話ではなく、ボタンが掛け違っていたら自分のことだったかもしれない』と自分ごととして捉えました」
とても痛ましい事件ですが、『避妊できなかった』『性に関することを相談できなかった』などの、身近なできごとの延長線上にあること。性の問題では、他にもハラスメントや強引に性行為に持ち込むといった性暴力などは、身の回りでも見聞きしたり、ご自身が被害に遭ったりしたこともあるかもしれません。
「性暴力を受けた時に、明らかに暴力だと認識できる場合もあるけれど、これくらいは我慢するのが当たり前なのじゃないかと捉えてしまうこともあるでしょう。だから、どこにも相談しないとか、自分の中で落とし所をつけて諦める…となりがち。
でも、ちょっとでも嫌だな、怖いなと思ったことは当たり前のことではないんですよね。そういう時は、自分のせいだと思うのではなく、信頼できる人に相談して欲しいですね」
信頼できる場所や人に、気軽に繋がれるような環境を整えるためにソウレッジではユースクリニックを増やすなどの活動をしています。
「性」についてオープンに、でも丁寧に真面目に関わるところが少しずつ増えてきています。ちょっとした悩みでも誰かに相談すれば、人と繋がり、より知識や視野が広がっていく…そんな循環ができていくといいですね。
https://sowledge.com
2019年設立。「誰もが、自分の人生を自分でコントロールできる社会」を目指し、青少年の性にまつわる課題の根本解決に取り組んでいる。また、気軽に相談できる大人がいること、必要なときに避妊薬にアクセスできる社会であることなどを実現化し、一人ひとりが自分の人生を自分で選び、歩んでいける社会の実現を目指して活動している。
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