最終更新日:2025年12月19日

今、この日本には数えきれないほど多くの、夜のお仕事に従事する女性たちがいます。SNSでの個人集客も当たり前になってきた現代、女性たちに「ネットの海でも光る個性」が求められています。
……そうはいっても「個性を出す」って、簡単なことではありません。SNSで目立つあの子は、どうやって自分の個性を見つけ、お客さまに選ばれる女の子になったのでしょうか。
本連載では、いま気になる「自分らしさが光る風俗嬢」にインタビューを実施。風俗というお仕事の中での、自分らしさの見つけ方や、他の女の子にはない「自分だけの魅力の見つけ方」を探っていきます。
キャッチコピーは「みんなの元カノ」
第3回目に登場してくださったのは、現在大阪・難波の『クラブブレンダ』に在籍し、シティヘヴンの投票イベント「ミスヘヴン」で全国2位という実績を作った有名嬢・南星聖来さん。そんな彼女のキャッチコピーは「みんなの元カノ」です。
フレンドリーな語り口とは裏腹に、分析型で「できることから努力しよう」という前向きな姿勢もあり、5年のキャリアでここまで有名になった聖来さん。インタビューから見えてきたのは、聖来さんが「友営」の中で大切にしている、お客様との関係作りのコツ。
家族の借金を返すために業界入りするも、1年で1500万円を完済

ーーまずは、業界に入ったきっかけから教えてください。
元々母親とは折り合いが悪く、16歳で家を出ています。だけど、私が20歳くらいの時に母親が倒れて、実家に戻ることになりました。そもそも母親は倒れる以前から、私に継続的にお金を振り込むようせびっていて、実家に戻った時には、市役所から届いた赤い封筒がたくさん届いていて、1500万円の借金があることが判明しました。
父は私が中学生くらいの頃に亡くなっているのですが、封筒の中には父親が残した家の固定資産税が長期間支払われていない通知も来ていて、このままだと家も差し押さえられる可能性もありました。母親が住み続ける場所を確保しないと行けなかったし、6歳下の弟はまだ中学生。私がどうにかしないといけないと思い、稼ぎのいい夜の世界に入りました。
ーー始めた時は借金が理由だったと思うのですが、夜の世界に飛び込む不安はありませんでしたか?
元々おじいちゃんがやっていたスナックでお手伝いをしていたので、夜働く生活には慣れていました。それにその時は、使命感が大きかったから、不安に思う余裕もなかったですね。
ーー借金の返済はもう終わっているのですか?
がむしゃらに働いたんで、1年くらいで返し終わりました。人の話を聞くのが好きだったし、がんばるほど稼げる環境も性に合っていて、借金を返し終わった後もこの仕事を続けたいと思っていました。最初のうちはなかなか続かなくて、3ヶ月働いては次の店へ、転々とする生活を続けていました。
その時には、自分の需要がいつかなくなるかもしれないことがとても怖くて、いつでも社会復帰できるようにと、いろんな資格も取ったりしていたんです。宅建や心理カウンセラー、ドローン操縦士とか、汎用性の高そうなものをいくつか取得しました。
だけど、ブレンダの前に在籍していた『京都デリヘルクラブ』というお店で、いいスタッフさんに出会って。一瞬飛びかけたけど「お前がいないとアカン」って、呼び戻してくれたんですね。そこから、なんとなく意識が変わって、病んで欠勤することが減っていきました。
人とは「深い付き合い」をするのが好き。2人だけの「ストーリー作り」を重視

ーーだけど、聖来さんといえば今や誰もが知る有名嬢。ブレイクスルーのきっかけは何だったのでしょうか。
「メロンガール」としての活動のお誘いをたまたまもらったことですね。いつ辞めるかも分からなかったから、顔出しでの活動はずっとしていなかったんですけど、メロンガールが顔出しできる子が条件だったので、そこで決心をして顔出しでの発信活動を始めました。
顔出しをする時には、家族に風俗の仕事をしていることを伝えました。というのも、もしも私以外の人の口から風俗のことを聞くとしたら、それが一番家族を傷つけることになると考えたからです。もちろん私にも「母親が作った借金を返すためなんだから、何しててもいいやろ」という思いもありましたが……結果的には、話してみてよかったですね。家族にも認めてもらって、顔出しを伴う活動を始めてから、この仕事で長くやっていこうという決心が固まりました,。
ーーこれまで、接客スタイルや働き方で、悩んだことはありましたか?
もともとスナックとかクラブで働いてたので、人としての付き合いは深い方が性に合っていると思っていました。スナックでは身体も合わせないし、自分の気持ちの問題だと思っていたので、深い人付き合いをそのまま風俗にも持って行っちゃったんです。だけど、身体も合わせてみると、やっぱり関係が重くなってしまって……ストーカー問題に見舞われたこともありました。
だからこそ私には、顔出しでも発信活動がとても合っていました。顔出しをした後は、お客様からも「アイドル的存在」として見られていることに気づきました。それまで、男の人の前では、他の男性やお客様の存在を匂わせてはいけないと思っていたから、Xでもあまりお客様と絡まないようにしていました。
だけど動画での活動を始めたら、コメント欄にいろんな男性が現れるじゃないですか。周囲が勝手に私をアイドル扱いしてくれるようになって、お客様とも適切な距離感を保てるようになっていきました。
ーーメロンガールでの活動が、今の接客スタイルやキャッチコピーのきっかけになっていったのでしょうか。
元々、お客様からは「元カノに似てる」と言われることが多かったんですよ。人見知りもしないし、初めて会った気がせえへんって言ってもらえることも多かった。そこに、メロンガールでの活動も絡めて「みんなの元カノ」として活動するようになりました。
ーー親近感のある接客は、聖来さんの魅力の一つですよね。これまで集客に悩んだことはありますか?
もともと、30分待機になっただけで泣くくらい、待機するのが嫌で。そういう意味では、集客面で本気で悩んだことはないのかもしれません。ただ、私なりに「お客様に筋を通す」ことは、接客においてもずっと大切にしてきました。
例えば 以前の店舗では、基本料金とは別に「特別指名料」というシステムがありました。店側からは当初、3000円で入ってほしいと言われていましたが、私としてはお客様にお支払いいただく以上、結果を出してから料金を上げたくて、指名料を「1000円にしてください」と、お店と交渉しました。
この方針の結果、1000円から2000円に料金を上げるのにも半年間かけて、料金を上げる際には、お客さんに対して「ごめんなさい。来月から2000円になります」「3000円になります」ということをすべて個別に報告するようにしていました。
ーーお客様を「お金として見ない」というスタンスを大切にしていることが伝わりますね。
お客さんとは人として付き合うことで、2人の「ストーリー性」を築くことを重視していました。聖来にだからお金をかけたいって思ってくれるお客様が多いのも、うちらにこれまでの関係性があるからだって思っています。だからこそ、自分が嫌なことをされた時も「そういうのされるの嫌って知ってるやん」って、面と向かって怒れるんですよね。
ーーたしかに、行きつけのスナックのママと常連さんみたいな関係性ですよね。怒ったり、わがままを言っても関係が切れないのは、信頼関係があるから。強い絆のあるお客様が多いんだろうなと思います。
目の前の人に笑顔になってもらえることが、何よりも嬉しい

ーー集客に問題がないにも関わらず、工数のかかるミスヘヴンに挑戦し続けているのには何か理由があるのでしょうか。
基本的には、現在の夜の仕事を長く続けていくという覚悟と、業界全体の認知度や、楽しさを高めたいという目的に基づいています。
私にとっては、この仕事を通じて得られる「単純に楽しい」という気持ちがとても重要だし、特に「人と関わっているのが面白い」と感じています。仕事は私にとって趣味のようなもので、どうやってこの業界をみんなで盛り上げていくかが、私の原動力なんです。
それに、大人になるって孤独じゃないですか。地元の友達とかも減っていく中で、居心地のいいコミュ二ティは自分で探していかないとって思いもあります。だからこそ、ミスヘヴンがあることで、お客様と私に共通の目的みたいなものが生まれるのもすごく嬉しい。亡くなった父が「なんでもみんなでやった方が面白い」って性格だったから、私もそれを受け継いでいるのかもしれません。
ーー聖来さんは、他の多くの女の子とは異なる価値観で業界にいるのかもしれないと感じています。聖来さんは、聖来さん自身の魅力をどう評価していますか。
飾らないところじゃないですかね。服くらいはマナーレベルに清楚にしているけれど、基本的には素の性格そのままで接客しているので。そこが、プレイとのギャップになっているのかなとは思いますね。気が強そうに見えるけどキスしたら可愛いとか、エロいとか(笑)。
ーーその感じ、まさに「元カノ」っぽいですね。あえて風俗らしい接客をせず、自分らしく接客しているからこそ、ストレスフリーな上にギャップにもなる。まさに一石二鳥ですね!
だけど、相手の気持ちを考えることは忘れないようにしていますよ。この人今面白くないのかもとか、これは言って欲しくなかったのかも、と察するアンテナは張るようにしています。小さい頃から周囲に大人が多かったからその反復もあるけど、心理資格を取得する時に学んだことも役に立っています。
だけど先読みしすぎると空回るから、やっぱり目の前のお客さんとの関係値を築くのが、一番大切かな。私が喜ぶことと、目の前のお客様が喜ぶこと、一緒とは限らないし、人によって違うことだと思うので。
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聖来さんのスタンスは、そもそも「人が好き」という、接客業にフィットした価値観がベースになっています。しかしそれだけではなく、お客様との関係作りが「客と嬢という一期一会」を超越しているとも感じました。
あなたと会うのは今日だけかもしれない、そのよそよそしさはお客様にも通じるはず。苦労の経験も多かった聖来さんは、自分の情報をオープンに開示することで、どのお客様にも心を開き、ここから関係値を作っていくための第一歩を、いつでも自分から作っているのだと思います。
誠実な関係とは「なんでも許すことではない」とも話していました。ここまではいい、という線を自分の中で明確に持っておくことで、我慢しすぎない工夫もしているといいます。
自分の「線」を持っていることで、お互いにリスペクトのある関係が持ちやすくなる……だからこそ、聖来さんは自分らしく働きながらも、高いリピート率を維持しているのでしょう。
聖来さんの個性は、まさに唯一無二。ですが、参考になる部分は多くあると思います。あなたもぜひ
「自分らしさとはなんなのか」を、聖来さんのマインドや連載を参考にしながら模索してみてください。
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