最終更新日:2025年7月8日
風俗で働いているおネエさま達! 性病検査は定期的に行ってますか? お店で義務付けがあれば、キットを使ったり、風俗嬢御用達の検査クリニックに通ったりしているかと思います。
でも、検査の義務付けがないお店で働いている場合は……どうでしょうか?
「検査代高いし」「面倒だし」「病気が見つかったら怖いし」と、ついつい避けてしまう方もいるのではないでしょうか。その気持ち、重々分かります。でも、性病検査は自分の体のためにするもの。ぜひ、行って欲しいなということで、時々、この「性病検査のススメ」を書いていきたいと思います!
性病は症状が必ずあるもの?
いえ、そんな事はありません!
性感染症(STI)って知ってますよね? そう、いわゆる性病のこと。
クラミジア、淋病、梅毒など、性行為を介して感染する病気が「性感染症(STI)」って言われてます。
ってところで、突然ですが、私が20代の頃に体験した怖い話をいたしましょう。
ある日のことでした。突然、ものすごーくお腹が痛くなったのです。
「歩くたびに肝臓付近が超痛い。ズキンズキンと響いてくる。これは尋常ではない」
初めて体験する痛みに、迷わず大きな病院へ行きました。
血液検査をすると、
「どこで何の菌が繁殖しているか検査しないとわからないのですが、何かの菌がお腹の中でめちゃくちゃ増えちゃってますね」
白血球の数が爆上がりでした。
ということで、急遽、日帰り入院。即、点滴治療を受けました。
その後、抗生剤の飲み薬をもらい、後日の血液検査では数値が正常範囲に収まっており、お腹の痛みも落ち着いて、治療は終了となりました。
で、これ、なんだったのかというと、クラミジアだったんですよ。
クラミジアって、「おりものが増える」「おりもののにおいが変わる」なんて言われていますが、全くそんなのには気づきませんでした。
変化はあったのかもしれないけれど、排卵日付近や生理前っておりものは増えるし、においも変わるから、正直よく分からないですよね。
つまり、何を言いたいのかというと、「検査をしないと感染してるかどうかなんて、わからない」ってこと。
これは、今回お話を聞いた新吉原検診所の女医O先生もよく言っていること。
「症状が出ないことも多いから、適切な検査を定期的に受けることが大事なんだよね」と。
ちなみに、新吉原検診所は風俗業界やAV業界などで働く女性(トランスジェンダーの女性含む)専用の検査所。検査を受けに行くと、お店でどんな働き方をしているかも含め、フレンドリーに相談に乗ってくれますよ!
梅毒は過去の病ではない!!
むしろ今、大ブーム中!?
さて、ようやく本題の梅毒です。
実は、この梅毒、2021年の感染者数が、1999年以降で最多になってるって知ってました?
下記は東京都の梅毒感染者数を報告するグラフです。
引用元:梅毒の流行状況(東京都 2022年)-東京都感染症情報センター
※2022年3月16日時点の情報です
今年は2月までで、すでに450人が報告されていて、このまま行くと過去10年で最悪だった去年を抜く可能性大なんです!
また、感染者の総数としては男性の方が多くなっています。
女性の場合、20〜24歳が最も多いのが特徴。ヒメヨミ読者の皆さんは、いわゆる熟女世代が大半でしょうが、基本、男性から感染することが多いかと思いますので、油断は大敵ですよ!
引用元:日本の梅毒症例の動向について (2021年第4四半期 : 2022年1月7日現在) -国立感染症研究所
実はこの梅毒、実は怖い特徴があるんです。
それは、「症状が消える」ということ。
「梅毒は、感染すると、第1期から第4期にわたって段階的に進行していきます。
第1期は感染から1~4週程度。トレポネーマ(梅毒の菌の名前)が侵入した場所に硬いしこりができ、すぐに潰れて傷になります。足の付け根のリンパ節も腫れたりします。
でも、傷やしこりの大きさの割には痛みが少ないんですよ。で『なんか変だけど様子を見ておこうか』と放置しておくと、数週間程度でそれらの症状はなくなってしまうんです」
つまり、「病気が治った」と勘違いしてしまう…というわけ。
でも、傷やしこり、リンパ節の腫れが治ったからといって、病気が治ったわけではありません。むしろ、静かに静かに進行している…。
そしてやってくるのが第2期です。
「感染から2〜4ヶ月程度の時期が第2期。バラ疹が出るのがこの時期ですね。増えたトレポネーマが血流に乗って全身に行きわたっている状態です」
皮膚症状が現れては消えるを繰り返すようになる第2期を過ぎると、第3期(感染から3~10年)、第4期(感染から10年以上)という後期梅毒へと進んでいきます。
梅毒の菌は粘膜から侵入する
つまりお口からも入ってくる!!
で、この梅毒の菌「トレポネーマ」。一体どうやって、体の中に入ってくるのかというと、「性交渉」ということになるのですが、この場合の「性交渉」は性器と性器の組み合わせだけではありません。
「梅毒の感染経路のほとんどが性交渉。皮膚や粘膜のごく小さな小さな傷口からトレポネーマが入り込んでくるんです。
コンドームを使用することで、感染リスクはかなり抑えられますよ。ただし、コンドーム未着用で口腔内接触すると、そこからも感染する可能性があるので注意が必要です」
そう、フェラやクンニだって感染リスクのある行為なんです。
ちなみに、コンドーム未着用での1回の性交渉での感染リスク(膣粘膜)は15~30%とお高め。お口も同等レベルだと考えられており、肛門に関してはこの数倍のリスクがあると考えられています。
働き方やお店の種類によっても、コンドームをどういう状況でどのように使用できるかどうかは異なってくるでしょう。
なので、一概に「コンドームはつけるべし!」と言えません。だって、そんなこと言っちゃうと、「え? フェラでもつけるの?」「素股はどうなの?」と大混乱になるでしょう? 働けないですよね。
ただ、感染リスクの高い働き方をしている場合は、お店が義務づけしていなくても、働く女性が自ら定期的に性病検査を受けに行くことはできます。
早期に発見できれば、治療期間も短時間ですみます。結果、治療にかかる費用も少なくてすむし、収入の減少も大きな痛手を負わずにすむ!
ちょっと面倒だし、お金も時間もかかるけれど…。
ぜひ、自分を守るために、性病検査を受けに行ってくださいね!
<取材協力>
新吉原検診所 https://shinyoshihara.com
業界に理解のある気さくな女医の先生が、しっかり見てくれますよ!
即日検査結果が出るので、お店を休むのも最小限で済むのも嬉しいところ♪
受診前にホームページからの事前登録をお忘れなく!
<注釈>
今回、タイトルをパッと見たときに、誰でもすぐにわかるように、敢えて「性病」と書きました。ややスラング的な言葉ではありますが、分かりやすさにおいては右に出るものはないと個人的に考えています。
一般的には、「性感染症」または「STI(Sexually Transmitted Infection)」と呼ばれます。
「STI」表記について説明すると、かつては「STD(Sexually Transmitted Disease)」と呼ばれていましたが、「Disease=疾患・病気」になる以前の「Infection=感染」までを含めるべきということから、現在は多くの場で「STI」と呼ばれています。特に、風俗業界で働いている女性にとっては、「STD」になる前の「STI」の状態で、感染に気づくことが大切だと考えているので、こちらの記事でも表記するときには、「STI」と書きたいと思います。
文 中山美里