
この業界で働いていると、誰もが一度はぶつかる壁。
「私って、いつまでこのお仕事を続けられるんだろう……?」
業界では「未経験」や「若い子」がブランド化し続けている中で、長く働いていると自然と意識せざるを得ない、自身の“セカンドキャリア”。その一方で、昨今は業界内に個人講師や運営代行などのビジネスチャンスが増えていることで、業界で培ったスキルを活かしたセカンドキャリアの選択肢も増えています。
実際に、ここでの経験を活かしてセカンドキャリアを積み上げている人は、どのようにその道を切り開いてきたのでしょう。今回「キャリアの道筋」についてお話してくれたのは、業界のレジェンドとして今も高い認知度を誇る、清本五月さん。
ミスコンへの出場や高級クラブでの活躍、そしてインフルエンサーとしての発信など、幅広い分野で活躍している彼女ですが、実際に話を聞いてみると、彼女のキャリア論は驚くほどシンプルな考え方。それでも彼女が今、このように成功している理由を、インタビューを通して探っていきます。
“清本五月”が「No. 1」になるまで

清本さんは、実はポジティブとはいえない理由でこの業界にやってきます。意図に反した形で、ネットに自分の本名が拡散されたことで、お昼の職場を立て続けに解雇になってしまったのです。
「身内にもバレたくなかったことが、地元の人たちにまでバレてしまった上に、最終学歴が高卒だったこともあり、もう風俗しかない、という気持ちでこの業界に入りました。自分のペースでお金を稼げるところはいいなと思っていましたが、今考えると当時は何の志もなく、仕方なく入った側面も強かったと思います。コミュニティを多く持っていたかったので、アルバイトではあるものの飲食店との掛け持ちもしていました」
仕方なく入ったこの世界。目標が見えなくて、辞めることも何度も考えたそうですが、結果的に通算7年、病気が発覚するまで活躍し、さらに最後に所属していた店舗ではぶっちぎりのNo. 1を獲得。そしてレジェンドの1人となり、今も女の子たちに認知されています。
「最初の店舗ではランキングを気にしてしんどくなることが多かったため、移籍を機にイチから頑張ろう、と気持ちを切り替えました。ナンバーワンを目指すこと自体を目的としなくなったことで、かえって結果がついてくるようになったような感覚です。移籍してからは、売上やランキングよりも、キャストとしてどうすればお客様に喜んでもらえるかを独学で勉強するようになりました 。接客の中で肌感として学んだ戦略として、自分のプレゼンを最初から行うのではなく、まずは相手に話をしてもらい、自分については「知りたい」と思わせてから小出しに話したり、話さなかったりというアプローチを意識していました 」
人気嬢として活躍していた矢先、清本さんは子宮が「高度異形成」の状態となっていることが発覚し、やむなく30歳でキャストを引退します。そこから、彼女のセカンドキャリアがスタートするのです。
「今自分にできること」を考え続けた結果が、今

キャストとしては引退を決めた清本さんですが、その後店舗から「運営サイドとして店舗に残ること」を提案されます。店舗の認知拡大や、SNSの運用、365日書き続けたという店長ブログなどを中心に、店舗が休業となるまで活躍。その後、個人としての活動をスタートします。
「計画を立てて行動するのはあまり得意ではなく、常に目の前のことをとにかく真摯に頑張る、が自分のモットーでした。決めたことしかできない、不器用な人間なんです。ただその結果としてNo. 1を獲得することができたし、運営に声をかけてもらえたのも、キャストとして目の前のことを頑張っていた結果だったのかなと思っています。店舗が休業になってからは、店舗広報として活動した経験も踏まえて、自身での発信活動を始めました。動画の企画や編集も全部自分で行い、発信が広がっていったことで、また次の仕事が舞い込んできました」

ミスコンに出場したのは、発信を目にしたミスコン運営担当からメッセージをもらったことがきっかけだったそう。現在、関西にあるクラブで活動しているのも、ミスコンで知り合った人に声をかけてもらえたことがきっかけ……清本さんの場合「次はここを目指そう」と考えてキャリアを形成しているというよりも、個人の活動の幅を広げていくことで、誘われる仕事を柔軟に受けていっている、という形に近いようです。
「ただ、発信活動だけは軸を持つことが必要だと考えていました。私の場合、発信の初期から現在に至るまで、徹底的に情報をギブする、というスタンスを一貫しています。現役のキャストに向けて、明日からすぐに使える接客のアイデア、モチベーションを保つためのマインド、日々の学びになるコンテンツなど、包み隠さず発信しています。自分の持っている知識やノウハウをすべて出し切ることで、フォロワーにとって圧倒的に価値のあるアカウントにすることを目指しています。
私自身がデジタルタトゥーに長く苦しんできたからこそ、ナイトワーク業界の発信でありながら、性的な内容や過度な露出に頼らない発信も心がけています。若いキャストたちが安易にネット上に露出を残してしまう現状を危惧していますし、ノウハウや人間性だけでも売れるということを、自らの発信を通じて証明したいんです」
業界でのセカンドキャリアを目指す前に考えたいこと

子宮の手術をされたこと、今は結婚して、子育てと仕事を両立していること。顔出しで、プライベートも含めて発信しているのも、清本さんならではの強みでもあります。業界のインフルエンサーとして、ここまで結果を出すことができた理由についても聞いてみました。
「今は家族も、私のこれまでの活動を知ってくれているので、もう怖いものはないというか、割り切って活動できているというのもあるかもしれません。だけど一番は、今現役の女の子たちだって、自分を隠さずに活動しているというのに、私が顔を出さないのはおかしいなと思ったから、オープンで真摯な発信を続けています。
ただ、私の場合発信者になることを目的に活動を始めたわけではないことが、今も活動を続ける理由になっているかなと思います。今はインフルエンサーになりたいから、認知を獲得したいからという理由で業界に来る女の子も多いと思うのですが、それだとキャストとして、現場に出ることがつらくなってしまうんじゃないかなと心配しています。私の場合、まずはキャストとしての経験値をしっかり積むことができて、完全に“女の子たちのサポートをしたい”というマインドに切り替わってから、発信活動をスタートしています。だからこそ、今も走り続けないといけないなと思えるんですよね」
キャストとして働くなら、まずはキャストとしての役割を全うして、お客様を幸せにする。この業界で目指すべき本質を追求し切った後だからこそ、清本さんの道は「勝手に開けていった」のだといいます。
「一度は風俗のお仕事が原因で離婚した経験もあります。全てが順風満帆の人生ではないけれど、たった一つ残された風俗という道で、自分に何ができるのかを考え続けた結果が、今です。この業界での知識を活かしてセカンドキャリアを掴むなら、やっぱりキャストとしては一回突き抜けてみて、何かしらの実績を残すことを目指してみるのがいいんじゃないかなと思います」
この世界でセカンドキャリアを追い求めるためには「キャストとしての今に向き合うべき」というのが、清本さんの回答でした。
「講師だとしても、インフルエンサーだとしても、ここでのセカンドキャリアの多くは、結局はキャストとしてのキャリアを極めた先にあるものです。だけどこうして活動の幅を広げてみた時に、この世界で頑張れた女の子って、どの世界に行っても結果を残せるんじゃないかという実感もあります。そのくらい、風俗のお仕事は大変だけど、やり切れた子は本当に強いです。だからまずは、今目の前の仕事やお客様のこと、自分のことをしっかり考えてあげてください」
目の前の仕事に向き合った結果、今もこの世界で活動を続けている清本さん。ゆくゆくは、女の子たちが集まって交流できるコミュニティなどの運営も考えているそう。清本さんの一貫した活動と高いインプレッションの裏には、ブレない軸と、目の前のことに向き合い続ける力がありました。
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風俗業界でトップキャストとして活躍し、在籍店舗では圧倒的な実績でNo.1を獲得。引退後は店舗広報やSNS運用、ブランディング業務を担当し、業界で培った経験をもとに活動の幅を広げる。接客術やマインドセット、キャリア形成に関する情報は多くの支持を集め、現在はインフルエンサーとしても活躍中。ミスコン出場や高級クラブでの勤務経験を持つほか、結婚・出産を経て子育てと仕事を両立。キャスト時代から一貫して目の前の課題に向き合い続け、その経験をもとに現役キャストや女性たちへキャリアや働き方のヒントを届けている。